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木島櫻谷(泉屋博古館分館(東京)) [美術展感想]

他の展覧会で最後の1枚残っていたチラシを見て気になったので行ってきました。

この美術館自体はじめて行くところです。

木島櫻谷の作品も多分はじめてみるのかな?

覚えてないだけかもしれませんが!

展覧会がはじまってから3日目に行ったせいなのか結構お客さんもいました。

 

美術館はそれほど大きくないのですが、金額と広さでを考えればいい感じだと思います。

欲をいえばこの金額で大きな部屋の方の広さでもう1室分の大きさがほしかったかな!

(屏風が結構せせこましく飾ってあったので!)

 

さて年始ということで最初に飾ってあるのは午を描いた「奔馬図」です。

これから先の作品は動物もかなり丁寧に書いてあるのですが、これは墨でさっと描いた感じのものです。

しかし、動物を描きなれているのが良く分かるような躍動感がこの絵から伝わってきます。

筋肉の表現がとても素敵でした。

 

「剣の舞」は時代物の絵です。

こういう絵で気になるのが甲冑等の衣装の描き方。

時代的に合っているかどうかは私には分かりませんが、かなり精密にしっかりと描かれてます。

それに合わせるような戦争真っ最中の臨場感。

それでいて血なまぐさを感じない絵です。

人の顔も写実というよりも絵巻物風で、この作品にはそれがすごく合っていました。

陣の外にちらりと見える桜がもう一つの現実を表しているように思いました。

 

「咆哮」日本画でこれほど写実的な虎を見たのは初めてかもしれない。

(絵としてとても素敵な虎はいくつも見てきましたが)

3匹の虎が水辺から我先にと這い上がってくる場面が右にあるのですが、虎独特のあの大きな手の描写がうまいなと思いながら見てました。

また3匹の躍動感が伝って来る構図は、左上に向かっていてそれが左の鹿の群れにつながっているのがいいです。

左は虎に追い立てられて逃げて行く鹿の群れ。

これまたどれほど焦って逃げているかが伝わってきます。

雪を舞散らしながら、中には焦りすぎて足が明後日の方向に!

群れで逃げているのにほとんど同じ格好の鹿は見えず、鹿たちの次の足の運びが見えてくるようでした。

鹿も虎も毛並みは一本一本かかれているのではなく、虎の模様もほぼ線です。

でもそれでいて違和感がない、それどころかそれの描き方だったからこそあの虎はいるのだと思います。

それでいて荒っぽく入れられている毛の線は、やわらかい毛と剛毛が混じっている動物のリアルさを感じました。

 

「一夜の夢」これも物語の中の出来事を描いたもの。

女性が綺麗に描かれているのが好きです。

 

「和楽」は実際の当時の庶民の生活を描いたものかな?

牛のちょっとくるくるとした毛並みの描き方が可愛くて好きでした。

人間はちょっと生っぽい感じが私にはいまいちで、特に唇が特徴的でした。

 

「寒月」はチラシのに使われている狐の絵の屏風です。

6曲1双の作品なので全体としては結構大きいものです。

月夜に雪の竹林を歩く狐、それは静かな光景ながら寂しい雰囲気はしません。

狐はそれまでの作品にあったように、写実的でそれでいて描き込み過ぎていない。

ちょっと覇気はないようには見えるのですが、寒い野原を歩いている様子がとても出ています。

その狐から自然に視線は右上の月へ。

一瞬飛ばした個所には漆黒の闇に溶けた森が少し見えている。

その森も右から左へと色が薄くなり雪のなかへフェードアウトしている。

それにアクセントをつけているのがまばらに生えた竹。

かなり濃い黒で描かれているのですが、それぞれが沈まない濃さと位置で存在している。

ちょっと画面に変化を持たせているのは手前の琵琶みたいな木でしょうか?

左端にはもう枯れて凍えた感じのハルジオンみたいな草がリアルで良いです。

細かく見ていくとほとんどの構成するものは真ん中と右に集まり過ぎている。

画面は雪の左は少し生えた竹以外描かれているものがなく真っ白だ。

でも画面に不安定さは感じない。

この構成の妙はなんなのだろか。

私にはよく分からなかったが、この構成力は凄いと思いました。

 

「葡萄栗鼠」は竹を組んだ棚に巻きついたブドウの葉の間からリスが見える絵。

普通だったらメインであるリスにあれほど竹竿やブドウの葉が密接してると絵をダメにしかねないところを、この作品はリスがのんびり毛づくろいしてるところをこっそり見て感じがとてもしていた。

またリスのしぐさがとても可愛い。

 

「峡中の秋」水墨画ほど線で表現したものではなく、とても軽い感じの絵。

奥の山の裾野はボケて見えず、いくつもの山がそびえ立っているのだが、岩肌を遠目でみるととても質感が出ている。

でも近くでみると線とも点と言えない黒からグレーがついているだけ。

やっぱりきっちり描きこんでいるわけではないのに、そのものの表情が出ている。

奥の山から視線を下ろすと少しだけ秋色に染まったの麓の川には橋がかかっているのだが、それがとても小さい。

全体をみてその山の大きさを再度確認させられる。

 

「孔雀」どっしりとした孔雀の絵。

普通だったらあの美しい羽を見せるものだろうが、この作品の孔雀は羽をたたんでいる。

その分首から胸にかけての青さがとても綺麗なのだが、岩絵の具の元であるラピスラズリの輝きがそのままでていてとても印象に残ったのだが、それがこの堂々とした孔雀に合っていた。

これは印刷物では絶対見れないものである。

 

「雪中梅花」これはちょっと枝ぶりも雪の表現もやりすぎて面白みがなくなってしまったように思う。

特に雪の表現は単調すぎているように感じる。

 

「柳桜図」この絵もそうだが構図が面白い。

日本画だと対象を正面からとらえたものが多いのだが、これは斜め上から見ている構図。

右の柳は天辺が描かれ、左の桜は根元から描かれている。

柳の上から桜が来る感じで、画面に動きがあるのがとても良いです。

桜も1輪ずつ描きこんであるけどそれがうるさくなっていない。

1輪1輪が可愛い。

ただ、柳の描き方としては、「行路難」に描かれていた方が変化と雰囲気があって好きなのですが、この作品にはこの青々とした柳の方が合っているとは思います。

 

「震威八荒図」鷹の絵で、松の木につかまり左下を見ている絵。

鷹の描き方はさすがだと思います。

無駄に雄々しくなく、がっしり松木をつかみながら静かにその先を見ているのが良かったです。

それに右下に松の枝が見えるのですが、これはがっつり松を描くのではなくちょっとのぞいている感じにしか描かれてないのですが、1本1本きっちり描かれた枝は画面に重みを持たせてます。

ただ鷹がつかまっている枝の描き方は弱いような感じがしたのですが、鷹を際立たせるためにはこの方がよいのかな?!

裏の飛んでいく雀の絵も見たかった。

 

「燕子花図」とてもデザイン的になっている作品。

花や葉自体に描き込はほとんどなくのっぺりとしているのだが、全体をみると動きが合って面白い作品。

 

「菊花図」白菊がメインでところどころに紅色の菊がアクセントであります。

右から左下へ菊が配置してあり、それが中央部でほとんどみえなくなると上からまた右から左下へ菊が描かれています。

これも見ようによっては上から眺めている感じの絵です。

菊自体の描き込みでもリズムがある表現がしてあるのですが、その1フレーズが終わったらまた次のフレーズが来るように菊が描かれていてちょっと音楽のようだと思いました。

菊は花びら1枚1枚厚みのある描き方をしていて色自体は白一色なのですが、花びらと花びらの間にはしたからうっすらと黒の線が見えてました。

描き方としては菊の茎の根元などは描くのが難しいと思うのですが、この作品ではさらっと筆を置いたままの感じで描かれていて余りにもシンプルなのですがそこに違和感は感じませんでした。

 

スケッチ画も結構展示してあったのですが、それだけみてもかなりうまいです。

これだけ動物を観察して描いてるからこそこの作品たちができるのだなと感じました。

この方の作品で特に好きなのは動物の足の描き方が好きです。

ちょっと気になったのは植物の描き方で、リアルとデザイン的な表現とが混在しているような場合は見た目は画面に合っているのですが、描きかたとして中途版な感じがしました。

はっきりデザイン的な場合は特に気にならないのですが・・・・・。

 

木島櫻谷さんは今回初めてはっきりと名前と作品を覚えた人なので、また何かの機会に他の作品が見てみたいです。

 

これから展開を見行く方がいたら会期が4つにわかれているので、みたい作品がない場合があることもあるかもしれません。

事前にHP等で確認して行くことをおすすめします。

(ちなみに今回書いた作品の半分は1,2期に展示してあるのもので、一部他の期での展示もします)

 


詳細がコピペできないので、日程のみ記載

木島櫻谷展

2014.1.11~2014.2.16

 

http://www.sen-oku.or.jp/tokyo/program/index.html


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